Entries

愛しき日々


久々に映画館へ
全米が泣きはしないがキラリと光る珠玉の映画をちょこちょこ上映してくれる、90席くらいの小規模な作りで、チケット売り場の人に感想言ったりできる感じの距離感の映画館です


   『パターソン』

    パターソン 

ジム・ジャームッシュ監督作品

ニュージャージー州パターソンに住む、パターソン氏の、ある一週間
毎朝なぜか同じくらいの時間に目覚め、妻を愛し、詩を書き、仕事をし、散歩し、ビールを一杯だけ飲んで、眠る
そういう毎日に満ち足りて暮らす
食事でもしながら「今日、こんな事があってさ」と家族に話すような、話さなくてもいいような、さほど劇的でもないことがあったりなかったりする
けれど当人にとっては大切な、愛おしいものたち
そういう感性を持ってさえいれば、幸福を得ることは実に容易い
同じような毎日に見えても、一日として同じ日はない
平凡な日常こそが、いかに奇跡的なことの積み重なりで出来ているかが身に沁みる一本

パターソン役、アダム・ドライバー氏の醸す雰囲気がとてもよい

ちなみに、ごくごくプライベートな告白をすれば、パターソンは昔一度だけデートしたK君に似ている(笑)
映画の好みが合い、やはりジム・ジャームッシュの『ナイト・オン・プラネット』を一緒に観た
背が高く、やや面長で、落ち着いた声で、静かだけど自分の世界を持っているところもパターソンに似ている
個人的に、静かに記憶がざわついた映画でした




 

青春ロマンポルノ


聖しこの夜に、こんな話題でなんですけども
深夜のCS放送で日活ロマンポルノをやっていて、とても素晴らしかったのでご紹介

ピンク映画、ロマンポルノとも、若き映画監督たちが技術を磨く場としても広く周知されているところとは思いますが、過去の作品リストを見ても今活躍している映画監督がずらりですね

 
 Moonlight_Whispers.jpg

今回観たのは、塩田明彦監督・脚本作品 『月光の囁き』(1999年)
塩田監督の作品は有名なところで、オウム真理教を基にした『カナリア』や、『黄泉がえり』、『どろろ』などがあります

  注:ここからネタバレ含みます
     ↓↓↓

下校時の会話の中でお互いの恋心を認め合い、付き合うようになるごく普通の高校生のカップル、拓也と紗月
風邪で寝込んだ拓也を見舞いつつ、ぎこちなく体を重ねたりする二人なのですが
ある日、拓也の“普通”でない性癖に気付いた紗月はショックを受け、拓也を拒絶します
しかし紗月への思いを断ち切れず、虐げられることに快感を覚える拓也にはむしろ好都合というか(笑)、まさに捨てられた子犬の風情で、紗月の家の外で雨に濡れながら立っていたりするわけです
それを見るにつけ紗月は尚更に腹が立ち、無理難題を突きつけいじわるをするのですが、それでも拓也は「俺は、紗月の犬や」 と忠実に従います
紗月は、拓也に新しい恋人とのデートを監視させたり、虐めは加熱していきます
そうして思いとは裏腹に不思議な関係は煮詰まって行き、混乱と苛立ちの中、徐々に自分の中にあるサディズムを発見していく紗月
そんな二人の心の動きや吐き出す言葉の一つ一つが、他人同士が性愛を通じて深く関わり合うことの醍醐味を感じさせ、最終的にはこれもひとつの自然な愛の形なんだと納得させる力があります


拓也役の水橋研二さんの持つ雰囲気と、紗月役のつぐみさんもなんともいい表情を見せる役者さんでした
水橋研二さんは、ポルノでは『くりぃむレモン』実写版でも主演しているらしく
『くりぃむレモン』は元はアニメーションポルノで、両親の違う兄妹の背徳の愛を描いた、まさに“アダルトビデオ”の印象しかないですが、この実写版は監督が『天然コケッコー』『もらとりあむタマ子』などの山下敦弘氏、予告編のみ観ましたが、大筋のストーリー以外は全く別物の良作の予感・・
こちらもいつか観てみたいです


それでは、今年をSMの話題で締め括るわたくしをお許しいただきまして、
みなさま、よいお年をお迎えください

アスタマニャーナ~





ワンギリナイツ


思い出したように鳴る、午前2時のワンコール
それはあの世からのメッセージ・・

ガクブル・・

いえ違います
セールス電話のための名簿を売る業者が、その電話回線が生きているかを確認するためにかけるらしいです
呪うぞコノヤロー
売る方と買う方の双方に、どうかバチが当たりますように・・



さて、久々に映画 『ブロークバック・マウンテン』 を観たのですが、泣いた
あんなふうに誰かを好きになったらさー
辛くね?

   51RNSCYK9YL.jpg

キャスティングが最高でしたが
あの目の大きな女優は、どの映画でも、見ていて気が散るのであまり好みではないです
アンジェリーナ・ジョリーの唇と同じくらい気が散る

人生は出会いと別れでできている
幸福かどうかとか、意味とか価値とか、そういうにこだわるのは、本当はどうでもいいことかも
映画とは関係ないけど、好きな歌を

   


柳の庭を下ったところで愛する人と逢ったんだ
彼女は白雪のような足で柳の庭を抜けて行った
彼女は僕に言った
恋は木の葉が茂るみたいに気楽に
でも若くて愚かだった僕は肯けなかった

川のほとりの原っぱに愛する人と立っていて
彼女は白雪のような手を僕の肩に掛けた
彼女は僕に言った
人生は堰に草の茂るみたいに気楽に
でも若くて愚かだった僕は今涙で一杯だ






地味にこわい


映画チャンネルでやってました

   サザンコンフォート 
   1981年『サザン・コンフォート/ブラボー小隊恐怖の脱出』


何これ面白い・・

邦題とか、パッケージとか、扱いが雑なのがツボです
あの伝説のB級名画 『ストリート・オブ・ファイア―』 のウォルター・ヒル監督
ベトナム戦争ものかと思ったら、アメリカを一歩も出ないどころか密林をほぼ出ない
というか出られない・・

※ここからネタバレです

物語は、ルイジアナの州兵(正規兵でない、有事だけに駆り出されるパートタイムの兵士)訓練中の小隊が、ケイジャン(カナダのフランス植民地時代の移民で、後にアメリカに移住した民族)のカヌーを盗んだことを発端に、ケイジャンたちから執拗に付け狙われ追い詰められていくサスペンスホラー

のっけから、お決まりの猥談好きな落ち着きのない男、陰気な堅物など不安なメンバーばかりで、先行きがもう不安しかないんだけど
そんな纏まりのない彼らと対照的に、どこまでもジメジメとした湿地帯の色のない景色にストレスを感じます

southerncomfort.jpg 

追手がほとんど姿を見せないのがさらに不安を煽り、目が離せなくなる
小隊の中で最も頼れる正規兵軍曹役のピーター・コヨーテのまともさだけが唯一のオアシスだわと思った途端・・ああ・・軍曹!
いやーん

ケイジャンが狂気のカルト集団だというような誤った観念を植え付けやしないかと心配になったけど、そういうところは昔は自由だったのだろうか

戦闘シーン?に昨今のような大爆発とか超人的な活躍とか、そういう派手さは皆無で
どこまでも旧式の銃とナイフだけでコツコツ戦います
そこがシブい
ただ、『地獄の黙示録』 みたいな食肉用の動物を捌くシーンなどはあるので、苦手な方はその点お気をつけください

ライ・クーダーの曲が使われてました
他の映画にも使っていた記憶があるので、ウォルター・ヒルさんはライ・クーダー好きかもな
ウチポテトでもしながら気軽に怯えられる映画ですが、根底には真面目なメッセージがあると感じます





覗き穴の誘惑



   yakuzatokenpo.jpg


『暴力団対策法、暴力団排除条例が布かれ、ヤクザは全国で6万人を割った。この3年で2万人が組織を離脱した。しかし数字だけでは実態はわからない。ヤクザは、今、何を考え、どんな暮らしをしているのか? 大阪の指定暴力団「二代目東組清勇会」にキャメラが入る。会長が15年の実刑判決を受けた殺人事件は暴対法のきっかけだとも言われる。組員の生い立ちとシノギ、部屋住みを始めた青年と実の子のように可愛がるオジキ、そして、組員の逮捕、家宅捜索の時間がやってくる・・。会長は「ヤクザとその家族に人権侵害が起きている」と語り始めた。』  (パンフレットより)



こんなん、観ずにおれんでしょうが・・

ちょっと前に、話題になった、ヤクザとて法の下では平等ではないのか?と問うドキュメンタリーで
テレビ放映と映画とは、若干の違いがある様ですが、どの辺が違うのかはみてないのでわからない
光市母子殺人事件の弁護人安田氏を撮ったドキュメント 『死刑弁護人』 と同じ、東海テレビの制作です
そこにか・・! という期待を裏切らないチョイスと、あくまで客観的に淡々と撮るスタイルが、ドキュメントポイント高くて好き

逸る気持ちを押さえながら映画館へ行くと、オジサン率高かった
オジサン 7 、 女子 2 、 カップル 1
くらいの割合でした

劇中、妙に愛嬌があるのがかえって怖い組員が、何だか不穏な感じのするピン札を茶封筒に押し込みながらニヤリとするシーンで、わたしの2つ隣りに座っていたオジサンが 「へッへッ・・」 と笑うのが一番コワかったですが

近頃の内部抗争のニュースでも注目されている山口組組長がインタビュー記事で、
 「はみ出し者や落ちこぼれを、カタギさんに迷惑かけないようにしっかりと目を光らせて束ねるのが組の役目。組が無くなったら、彼らが好き勝手やり出して大変な事になる」 というようなことをおっしゃっていた
いわゆる必要悪という理論
別番組では、「近頃はカタギの人間にも手を出したりするやつが増えて、もうヤクザを辞めたい」 と任侠が純粋に任侠として機能してるとは言い難い現状を訴える組員も
仁義みたいなものはエネルギーにも足枷にもなるし
なんだか、ヤクザの原理主義というか、信心というか、宗教的な側面もあるのかな

人の感情として、社会のルールにどうにも沿えないということも大なり小なり、そりゃああるでしょうし
その人が反社会的だといって問答無用で生活の何もかもをバッサリ切って捨てるという考えは怖いです
理解や共感の余地が少しでもある限り、断罪はないのでは


映画は、彼らの日常のほんの一部を垣間見ただけではあるけれど、興味深かったです



   








Appendix

最新記事

プロフィール

こぐま

Author:こぐま
日常のこと、本、音楽のことなど
イラストをごくまれに描きます 
あやしいものではありません

QRコード

QR